
あのね、
ある日、空を見上げたらあまりにも月がきれいだったから
大好きな人や、みんなにも教えたくなったんだ
あの時の月は三日月だったのだけれど
ちょうど夕焼けから夜の闇に変わっていく瞬間で
コバルトブルーに浮かぶ三日月が
猫の爪のように細く細く、潔く細くて明るく、澄みきっていて
なんだかとても、泣きたくなってしまった
一番最初にに教えたいと想い浮かべた人が果てしなく遠い人で、
そのことに気がついて、途方にくれてしまったんだ
遠い、遠いその人に「あのね、空がね」って話しかけてる
届かなくてもいいんだ、おなじ空の下にいるんだもんね
それだけで少し、ほほ笑むことができたから……

人はいつかは離れ離れになってゆく
父親のように
母親のように
兄のように
姉のように
弟のように
妹のように
息子のように
娘のように
それぞれみんなを愛していた
友情でもない
恋愛感情でもない
そんな気持ちをどんな言葉で表したらみんなに伝わるというのだろう